東京浅草事務所、某日。
にっしゃん:社長、Oculus Riftを買ってください。
藤中:え? Oculus RiftってHMD(ヘッドマウントディスプレイ)だよね。そんなの必要なの?
谷:これからは、VRコンテンツですよ。うちも、乗り遅れないように、表示デバイスだけでも買いましょう。
藤中:う~ん、でも、東京浅草事務所は2人だけだし、神戸にくらべると売上も少ないでしょ。
まずは実績を上げて、研究開発はそれからでもいいんじゃない?
谷:何をふぬけたことを言ってるんですか! ここぞというときに先行投資しないと、東京では生き残れないですよ!
にっしゃん:東京には東京のやりかたがあるんです!
藤中:わかったよ。そんなに言うなら、買ってみよう。
谷・にっしゃん:ありがとうございま~す!
藤中:買ってきたよ。
にっしゃん:…これ、本ですよね。
藤中:なんか、調べてみると、「ハコスコ」ってのが流行ってるので、そっちにしたよ。
安かったし。ムックはホリエモンが編集長だし、面白いんじゃない? 安かったし。
にっしゃん:はあ。
藤中:まあ、作ってみようよ。
谷:なんか、紙ですね。
藤中:そうだね、紙だね。
柔らかい素材だから、ちょっと頼りなく見えるよね。
でも、この紙の軽さは、結構メリットがあるんじゃないかな。HMDはコンピュータ、表示デバイス、センサーが必要なので、とにかく大きく、重くなりがちでしょ。
頭部にそんな重いものをつけていると、気になってVRコンテンツを楽しむことができないわけ。
紙なら軽く作ることができるので、着けていることが気にならず、もしかしたら、高価なHMDより没入感があるかもしれないよ。
にっしゃん:これ、装着するんじゃなくて、持ったまま使うみたいです。長時間だと、腕が疲れそうです。
藤中:VRコンテンツは体全体を使って楽しむコンテンツだよ。
腕が疲れるということは、それだけリアルな体験ができるってことじゃないのかなあ。
エクスペリエンスとエクササイズって似てるでしょ。
このハコスコのソフトを使えば、海外の観光スポットをVRで体験できるじゃない。海外まで歩いて行くことを思えば、腕が疲れるくらい、たいしたことないわけ。
谷:iPhoneにアプリを入れて、はめ込むんですか。手軽ですね。
藤中:HMDはまだまだ普通の人には高価だから、手軽に安く楽しめるのはいいことだね。安くね。
にっしゃん:あ、なんか、見えます。ちゃんと、自分の見ている方の映像が出ますよ。ジェットコースター、すごいです!
藤中:よかったね。(これで満足するなんて、こいつはまだまだ扱いやすいな)
にっしゃん:でも、ハコと顔が密着してないので、結構、周りの景色も見えちゃいますね。
藤中:そうだね、それはAR(拡張現実)効果だね。いくらバーチャルが進化しても、現実をおろそかにしてはいけないよ。
ほら、よく電車で音楽に夢中になりすぎて、イヤホンから音が漏れている人いるでしょ。ああいうのって、マナー違反だよね。
周りのことがちゃんと見えていて、さりげなく気遣いできる人は、大人って感じがするよね。
谷:…社長、これOculus Riftとぜんぜん違いますよね。両眼視差もないし。
藤中:視差は想像で補うこともできるんじゃ…
谷:ちゃんと買ってください。
藤中:…うん、まあ、考えとこうかな。
おまけ。両眼視差対応のハコスコもあるよ。