
はじめに
ドメインを使ってWebサイトを運用していると、「指定事業者変更」や「DNS切り替え」という言葉に出会います。
しかし、これらは全く別の手続きでありながら、目的やタイミングが似ているため混同されやすいものです。
この記事では、それぞれの定義・役割・違い・タイミングについて、わかりやすく整理します。
用語 | 概要 | 主な操作対象 | 管理する内容 |
---|---|---|---|
指定事業者変更(レジストラ移管) | ドメインの“管理会社”を変更すること | ドメイン登録者 | 契約、更新管理など |
DNS切り替え(ネームサーバー変更) | ドメインの権威DNSサーバーを変更すること | サーバー側 | Webサイト表示、メールなどの通信先 |
レコード変更 | ドメインがどのサーバーに向いているかを変更すること | サーバー側 | Webサイト表示、メールなどの通信先 |
指定事業者変更(レジストラ移管)とは?
目的
ドメインの管理会社(レジストラ)を変更し、今後の契約・更新手続きを別会社で行うための手続きです。
主なケース
- 複数ドメインを一括で管理したい
- 他社の方が更新費用が安い
- 契約アカウントを統合したい
手続きの流れ
- 現在のレジストラから**AuthCode(認証鍵)**を取得
- 新しいレジストラで「移管申請」
- 登録者メールアドレスで承認操作
- 数日後に移管完了
DNS切り替え(ネームサーバー変更)とは?
目的
権威DNSサーバーが変わり「どのサーバーにアクセスするか(Aレコードなど)」を切り替える手続きでWebサーバーやメールサーバーを変更することがあります。
主なケース
- 請求をまとめたい(サーバーの業者とドメインの業者を一緒にしたい)
- DNSレコードの細かい設定ができないのでそれができるDNSサーバー(サービス)に変えたい
手続きの流れ
- 先に新サーバー側でドメイン設定を行う
- ドメイン管理画面でネームサーバーを書き換える(例:
ns1.xserver.jp
→ns1.sakura.ne.jp
) - 反映まで数時間~72時間ほどかかる
レコード変更とは?
目的
ドメインが「どのサーバーにアクセスするか(Aレコードなど)」を切り替える手続きです。これによりWebサーバーやメールサーバーが変更されます。DNS切り替えの作業の一部として行うこともあります。
主なケース
- サーバー引っ越し(Xサーバー → さくらなど)
- Webとメールのサーバーを分けたい
手続きの流れ
- ドメイン管理画面でAレコードやMXレコードを書き換える
- 反映まで数時間~72時間ほどかかる
よくある誤解と実は、、、
誤解例 | 実際は… |
---|---|
DNS切り替えすればドメインの管理も移管できる? | ❌ No → ドメイン管理は別手続き(指定事業者変更)が必要 |
サーバーを引っ越したから指定事業者も変えなきゃ? | ❌ No → ドメイン管理会社は変える必要なし |
指定事業者変更すればDNS設定も変わる? | ❌ No → DNS情報はそのまま引き継がれる。手動変更が必要 |
指定事業者変更とDNS切り替えの両方が必要になる例
たとえば:Xdomainで取得したドメインをお名前.comに移し、さくらサーバーに引っ越す場合
✅ 指定事業者変更:Xdomain → お名前.com
✅ DNS切り替え:旧サーバー → さくらのネームサーバーに変更
まとめ
比較項目 | 指定事業者変更 | DNS切り替え | レコード変更 |
---|---|---|---|
対象 | ドメインの管理会社 | ドメインの権威DNSサーバー | ドメインの通信先 |
目的 | 契約・更新を別会社で行う | 請求の統一 | サーバーの変更や引っ越し |
操作する場所 | 現レジストラと新レジストラ | ドメイン管理画面 | ドメイン管理画面 |
よくある誤解 | サーバー変更と同時に必要と思われがち | ドメイン移管と混同されがち | DNS切り替えの一部作業だがドメイン管理が変わらない場合これだけでよくないと思いがち |
おわりに
指定事業者変更とDNS切り替えは、どちらも「ドメインに関する設定変更」ではありますが、目的も影響範囲もまったく異なる手続きです。
それぞれの違いを正しく理解しておくことで、無駄な作業やトラブルを防ぐことができます。
今後、ドメインやサーバーの移行をスムーズに進めるためにも、今回の記事の内容を参考に、「契約の管理」と「通信の向き先」の違いをしっかり押さえておきましょう。