墨で魅せる! 現代に存在感を残す、書作品の作家5選。

書

こんにちは。
みなさんは墨を使った作品というとどんなものを想像しますでしょうか?

墨と筆を使って見本を参考にしながら書いた「書道」や「書写」、「習字」の授業を思い出す人が多いと思います。
また、何年か前の映画「書道ガールズ!!」であった、大きな書道用紙にパフォーマンスしながら書くものもあります。

墨の作品には紙を使った作品のみならず、様々な手法で表現されます。
現代に存在感を残す、墨作品を制作する芸術家5名をご紹介いたします。

篠田桃紅さん

岐阜現代美術館 篠田桃紅コレクション

書家/美術家100歳を超えている現在でもご活躍中。
墨象(絵でも字でもない抽象的な手法)を用いた作品を多数制作しています。
コンラッド東京というホテルの壁面を制作したり、ザ・キャピトルホテル東急に作品が飾られていて、
その作品があるだけで、ホテルに華が出ています。
ホテルに飾られた作品にビートルズも興味を持ったそうです。
篠田さんの作品は、墨の濃淡を美しく表現し、細い線や、一筆で書かれた面の作品が多く、
時には墨の色だけではなく、絶妙なバランスで金、銀、朱などが取り入れられています。
墨や和紙、日本画の画材などを用いていながら古さを感じさせず、墨と紙の余白の取り方などで現代でも褪せない美しさがあります。

岐阜現代美術館に篠田桃紅さんの作品が常設されています。

宮村弦さん

書家/墨象作家 宮村弦 Official Website

書家/墨象作家
伊勢丹のディスプレイのガラスに墨象作品を描いたり、空間を自分の世界にしてしまいます。
写真と墨を組み合わせることもしていますが、白黒の写真を使っており、純粋に墨の色に魅せられます。
CDジャケットや本の表紙に使われたりしています。
勢いのある筆の流れや、かすれた部分、白い空間に置かれたその作品は独自の書に対する美意識を感じさせられます。

紫舟(ししゅう)さん

書家 紫舟(ししゅう)

書家/アーティスト
日本国政府 内閣官房からの依頼でスイスダボス会議「JAPAN」のロゴや、NHK大河ドラマ「龍馬伝」題字など、幅広く活躍しています。
展覧会では数々の賞を受賞しています。
紫舟さんの作品は、書の彫刻、書の映像作品など、書の見せ方が新しく、見ている人を惹きつけます。
チームラボとコラボし、書のプロジェクションマッピングも行っています。
「北斎は立体を平面に、紫舟は平面を立体にした」と評価を受けるほどで、ただ書を立体にするのではなくて、立体にした書作品に光を当てて文字の形を影として映し出します。
そこには書の迫力と美しさが表現されています。
書の持っている美しさや雰囲気をそのまま残していますが、古くからある書に古っぽさは全く感じさせず、新鮮味を感じます。

丸山晋一さん

Shinichi Maruyama

写真家
書家ではなく、写真家の丸山晋一さん。
写真を通して「動き」を表現しており、高速カメラを駆使した水などの液体撮影で多くの作品制作をされています。
その中で空書と呼ばれる「天空に描く写真による書」で表現しています。
墨が宙に舞う瞬間を撮影されたもので、白の背景に墨の色が透明の水しぶきと共に写っているその瞬間の写真は、書のアート作品としてとても美しいものです。
書家にはできない、写真家ならではの書の扱い方であると思います。

國重友美さん

國重友美 オフィシャルサイト eekanji.jp

書家
英語で書いても漢字で書いても、同じ意味になる文字「英漢字」という独自の手法で表現しています。
(例:「flower」を使って漢字の「花」を表現します。)
英漢字をパッとみたら綺麗で味のある書に見えますが、よく見ると英語が隠されているのがわかります。
これは鉛筆などでは表現できない、書ならではの線の太さの差異が出せるから表現できるものだと思います。
墨の色だけではなく、他の色も使うことがあり、ポップな表現も可能です。
新しい手法で書を魅せるのも現代で印象に残る作品になりますね。

まとめ

少しでも墨や書に興味を持っていただけましたでしょうか?
字は綺麗でなくても筆で文字を書いてみると味が出て面白いものが作れたりします。
書作品を見るだけではなく、自分で書いてみてはいかがでしょうか!