活版印刷のワークショップに参加してみた。

活版印刷のワークショップに参加してみた。
こんにちは。デザイナーのまっつんです。

活版印刷をご存知でしょうか?
時々、凹凸感のある名刺などの印刷物を目にすることがあると思います。
あの風格を感じさせてくれる手触りの虜になっている人は、少なくないのではないでしょうか?

今回は、手軽に家庭でも活版印刷ができる『レタープレスコンボキット』のワークショップがあるということで、
『レタープレスコンボキット』を発売されている京都活版印刷所さんにお邪魔してきました。

活版印刷とは?

活版印刷とは、本来は活字と呼ばれる文字を一つひとつ拾い上げ、インクを付け、紙にインクを転写するという印刷です。
その歴史は長く、手作りで製本をしていたころまで遡ります。
今日では、活字に限らず、樹脂版などの凸版にインクを付けて印刷することを活版印刷と呼ぶようです。
今回受けてきたワークショップでは、樹脂版を使った活版印刷を体験してきました。

レタープレスコンボキットについて

レタープレスコンボキット
レタープレスコンボキットとは、アメリカのメーカー「We R memory keepers」(元はLifestyle craft社)で発売されている、パーソナル印刷機です。
アメリカで発売当時、わずか1日で10,000台売れたという商品だそうですが、日本では京都活版印刷所でのみの取り扱いだそうです。
活版印刷だけでなく、エンボス加工やダイカット加工もできる優れものです。

場所は伏見稲荷の近く

伏見稲荷大社
京阪本線 稲荷駅を降りると、伏見稲荷大社があります。
京都活版印刷所さんは、駅を出てすぐの道を左にまっすぐ進んでいくと、交差点を一つ過ぎ、京都銀行を超えた少し先にあります。
残念ながら写真は撮り損ねてしまいましたが、入口はガラス戸になっているため、外からは古民家を改装してオープンされた京都らしい内装を垣間見ることができます。

活版体験

到着したところで、名刺交換とご挨拶、そしてすぐにワークショップに入りました。
今回のワークショップでは、オリジナルのレターセットを作ります。

紙と凸版を選ぶ

レターセットのカード
レターセットの封筒
樹脂版
まず始めに活版印刷をする封筒とカード、樹脂版を選びます。
半透明や和紙など、いろいろな色や素材の紙があります。
樹脂版もたくさんあったのですが、その中には、京都活版印刷所さんで製版もしているらしく、イラストレーターの方のデザインだというものもありました。

選んだカード・封筒・樹脂版
秋らしいレターセットを作りたいと思いながら落ち着いた色のものを中心に選びました!
海外で作られている紙、半透明の封筒などもあり、かなり迷っていましたが、選ぶのがとても楽しかったです。

吉村さんによるレクチャー開始

手本として、京都活版印刷所の吉村さんからレタープレスコンボキットのレクチャーを受けました。
その様子をご紹介したいと思います。

プラットフォームの準備

ペーパープレスメントガイド
まず、プラットフォームにペーパープレスメントガイドというクッション性のテープを貼ります。
これを置くことで、このあと同じサイズの紙を使うときに固定がしやすいとのことでした。

樹脂版を下に向けて置いて場所を決める
樹脂版に合わせて両面テープを切る
両面テープを樹脂版に貼る
プラットフォームを閉じる
次に、選んだ樹脂版を凸面を下にして置き、印刷する場所を決めます。
場所を決めた後は、樹脂版の裏に両面テープを貼り、同じ場所に置いた後プラットフォームを閉じて紙と反対側に貼り付けます。

インクの準備

色んな色のインク
固まったインク
別紙にインクを出す
プラットフォームの準備ができたら、インクを選びます。
選んだインクは、紙の上でローラーを転がして伸ばしながらなじませていきます。

茶色のインク
色を混ぜて、茶色を作っていただきました!

いざ、活版印刷

プラットフォーム、インクの準備ができました。次は待ちに待った活版印刷です。

樹脂版にインクを付ける
プラットフォームに貼り付けた樹脂版に、インクを付けたローラーを転がして色を付けていきます。
汚れを拭き取る
樹脂版以外の場所についてしまったインクは、このままだと紙に印刷されてしまうので、拭き取っておきます。

プラットフォームを閉じる
レバーをくるくる回して印刷
プラットフォームを閉じて、レタープレスコンボキット本体に通すと完成です!
レバーは思っていたよりも軽く回りますが、樹脂版のあるところは少し力がいります。
写真では伝わりにくいですが、活版印刷特有のぼこぼことした手触りは堪りませんね!

1枚目の活版印刷(練習用)
余分なインクを拭き取る
一度目の印刷ではインクを多くつけすぎてしまったので、拭きなおして再挑戦しました。
ちょうどいいところをいくつも印刷しながら探っていくのも、活版印刷の楽しみのようです。
金色のインク
途中、金のインク(赤金・青金の2種類)も使わせていただきました。

完成品お披露目

たくさんのレターセットを刷りました
完成品すべて
開始から終了時間ぎりぎりまで、参加者が私一人だったということもあり、たくさん刷らせていただきました。

京都活版印刷所について

京都活版印刷所さんは、大阪にあるCAPPAN STUDIOの「cappan」という文化を、京都から創造・継承・発信していく拠点だそうです。
もともとは古民家なので、雰囲気のある内装に心動かされる人も多いのではないかと思います。
今回のワークショップでは、吉村さん、登津山さん、西野さんの3人にお世話になりました。
私が参加したレタープレスコンボキットの体験はもちろん、手きんを使った名刺づくりなど、ワークショップを定期的に開かれているそうなので、ぜひ参加をおすすめしたいと思います。

まとめ

吉村さん・西野さんと記念撮影
ネクストページでは普段パソコンに向かってWebサイトを作っていますが、時々紙に触れて、自分の手を使いものを作ることも大切にしたいなと改めて感じさせられました。
活版印刷は普通の印刷と違いあまり手軽にすることができませんが、レタープレスコンボキットによって、その壁が少し低くなるのではないかと感じました。
またワークショップに参加し、活版印刷の魅力をもっと知っていきたいと思います。