完全な暗闇の世界。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してきた。

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初めまして。デザイナーのカナイです。

突然ですがみなさんは、目以外のなにかで、ものを見たことがありますか?
「なんだそれ?あるわけないよ!」と思われた方に、ぜひとも参加してほしいものがあります!
それが今回ブログで紹介する「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」です。
DIDを一言でいうと、「完全な暗闇を体感する」ワークショップです。
「完全な暗闇」っていったいどんな世界なんだろう…? ということで、先日大阪のDIDに行ってきました!

ダイアログ・イン・ザ・ダークについて

ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)とは、完全に光を遮断した暗闇空間の中に少人数のグループを組んで入り、視覚以外の感覚を使って様々なことを体験するエンターテインメント形式のワークショップです。

1988年にドイツで発案され、日本では1999年11月に初めて開催されました。
現在は東京・外苑前の会場と大阪「対話のある家」を中心に開催されています。
私は大阪の「対話のある家」に参加してきました。
暗闇の中に家があり、そこで”くらし”を体感するというものです。
詳しい情報は公式サイトをどうぞ。
ちなみにDIDのロゴはgood design companyの水野 学さんデザインです。
かっこいいですね…!

いざ、暗闇体感!

150710_img01会場はグランフロント大阪 北館 4F ナレッジキャピタル 積水ハウスの中です。
受付を済ませた後、スタッフの方に誘導され、暗い部屋へと進んでいきます。
そこには暗闇空間を案内してくれるアテンドという別のスタッフさんがいました。
アテンドさんは全盲の視覚障害を持たれています。
アテンドさんから視覚障害者の方が使われている白杖を渡されます。

「では、部屋を真っ暗にします。」

アテンドさんの言葉とともに、部屋の明かりがどんどん暗くなり、真っ暗な空間に!
完全に光が遮断された暗闇というものは自分の想像以上のものでした。
全く何も見えず、自分が本当に目を開けているのか疑ってしまうレベルの暗さです。
暗闇に対しての恐怖が一気に自分に押し寄せてきて、心拍数が上がり、気分まで少し悪くなってきました。
正直最初はこれちょっと無理かもしれない…と思ってしまうくらい、本当の暗闇は衝撃的でした。

「じゃあ今から家に向かいます~! ドアの方に歩いてください。」

ドアどこ? 歩くってどっちに? 今自分はどの方向を向いてるの?
暗闇の中では、歩くだけでも一苦労でした。
バタバタしている間に、家に到着したらしく、靴を脱いで家の中にあがります。
いよいよ、「対話のある家」での体験の始まりです。わくわく。

視覚がない世界でのコミュニケーションの大切さ

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DIDでは、その場で初めて会う人とグループを組んで、暗闇空間に一緒に入ります。
初対面の人とコミュニケーションをとることは緊張しますが、暗闇では喋らなければ存在すら無くなります。
自分から言葉を発しなければ、何も相手に伝わらない…!
一緒に参加した人たちもそう思うからか、いろいろな情報を伝えてくれます。

「ここ段差あるから気をつけて」
「ふすまある!」
「このへん畳だ」
「なんか縁側があるよ」

コミュニケーションって素晴らしい…。
人がいることの安心感すごい…。
視覚の情報がないからか、初対面にもかかわらず、あっという間にグループの人と打ち解けていきました。

途中で、2チームにわかれてブロックを使って家を作るという企画がありました。
この家作りが大変でした…。
目が見えない状態で相手に伝えることって本当に難しい!

わたし「ここに使えそうなブロックありますよ」
チームの人「ここってどこですか?」

指示語を使っても、全く相手に伝わらない!
伝わらないとわかっているのに、油断するとすぐ指示語を使ってしまいます。
普段どれだけ視覚情報に頼って、言葉を発してたのかよく分かります…。

何もかもが新鮮

視覚以外の感覚から伝わるものを普段あまり意識していないからか、あらゆる体験が新鮮に感じます。
足の感覚から今どういう素材の上に立っているか考え、手の感覚から何を触っているか考え、耳の感覚から今自分がどういう位置にいるかを考えます。
そうして情報がどんどん入ってくると、暗闇にいるけれど、部屋の中の様子が頭の中でなんとなくできていきます。
見えないけれど、なにか見える! という今まで感じたことがない不思議な感覚でした。
そう思い始めたころには、最初に感じた暗闇に対しての恐怖は全くなくなっていました。

休憩タイムでは、お菓子をみんなで食べました。
醤油煎餅とビスコを食べましたが、いつもより味がそっけないように感じました。
私は普段視覚からの情報に重点を置いて食べ物を食べているのかもしれません。
一方グループ内の男性の方は、「味が濃く感じる」と言っていました。
同じ体験をしても、人それぞれ感じ方が違うのも面白いですね!

とにかくオススメです!

日常生活において、感覚器官のなかでも視覚はかなり重要な役割を果たしています。
だからこそ、「暗闇」や「視覚からの情報がない」ことに対して、「怖さ」「不安」を感じる人は多いのではないでしょうか。
そういう方にこそ、ぜひこのワークショップに参加してみてほしいです。
忘れてしまいがちな、視覚以外から感じられる様々なことを改めて体感することができます。
また、人と顔を見ずに会話できるので、コミュニケーションに苦手意識がある人にもオススメです。

DIDは参加できる人数が決まってますので、予約して行くことをおすすめします。
予約は公式サイトからできますので、興味のある方はぜひ!