40代でもデザイナーを続ける方法。

仕事をするオシャレなお年寄り
こんにちは。かつて若かった私も、今やすっかりもうろくし、若手の助けなしでは仕事になりません。

私がウェブデザイナーという仕事を始めたのが25歳。30代後半までデザイナーやフロントエンドエンジニアの仕事が多かったものの、40歳を越えて、すっかり経営の仕事がメインになりました。
それでも、若いもんには負けんと、あふれたディレクションやデザインの仕事を拾って、お客様の前に立っています。
現在、経営:スタッフワーク=7:3というところでしょうか。

かつての仲間も、同じように歳をとり、10年間で下のように変化しました。

名前 10年前 現在
K君(男性) コーディングが得意なウェブデザイナー 40人規模のウェブ制作会社の役員・ディレクター
S先輩(男性) やんちゃなグラフィックデザイナー 100人規模の会社のクリエイティブディレクター、3D CGデザイナー
H先輩(男性) 気のいいグラフィックデザイナー 元の制作会社(現在は100人規模)のクリエイティブディレクター、デザイナー
Iさん(女性) ウェブデザイナー ネットショップオーナー、フリーランスのデザイナー
Mさん(女性) デザイン力のあるウェブデザイナー 主婦
N先輩(女性) 上手いグラフィックデザイナー 100人規模の会社でグラフィックデザイナー、ウェブデザイナー

リストにしてみるとデザイナーを続けている人も多いですね。ただし、ほとんどの方が兼務で他の仕事をしています。

なぜ、歳をとってデザイナーだけしている人が少ないのか。

歳をとると家族が増えたり、将来への貯えが必要になり、お金が必要になります。会社はベテラン社員の給料を上げるために、部下を使って、より多くの仕事をしてもらったり、より付加価値の高い仕事に変わってもらう必要があります。つまり、出世してもらわないといけないわけですね。
そこで、デザイナーとして十分やっていける人でも、早く手を動かす仕事から離れて、ディレクションや管理業務をしてもらおうとするわけです。考えてみれば、もったいない話です。

また、よく言われるように、若い感性についていけなくなるという理由もあります。だいたい、現場のクリエーターとしてのピークは30代に来ることが多いように思います。ピークを過ぎると、だんだんデザインが古くなっていきます。40代はなんとか大丈夫でも50代は? 私たちは60歳でも、まだまだ仕事をしなければいけません。

歳を取ったデザイナーには、意見を言い辛いという理由もあります。現場のデザイナーは、仕事の最終段階を任されます。日本は目上の人を立てる文化。デザイナーがお客様やディレクターより年上だと、遠慮して意見を言えないこともあります。
「Aさんの上げてくれたデザイン、なんか古いんだけど、10歳も年上なので指摘し辛い」
その結果、Aさんのデザインはどんどん時代遅れになっていき、仕事が減っていくわけです。

書いてて悲しくなってきました。

実際の現場では、ベテランにしかできない本質を突いたデザインで活躍されている人もたくさんおられます。
そういうベテランデザイナーの場合、たいてい、クリエイティブディレクター(アートディレクター)を兼ねています。

それでは、歳を重ねてもデザイナーの仕事を続けていくために必要なことは何でしょう。

あきらめないこと、努力し続けること。

僕の後輩だったK君はデザイナーとしてはそこそこでした。彼は30歳くらいでデザインやコーディングに早々を見切りをつけ、ディレクション業務に移りました。制作者上がりの優秀なディレクターは、とても重宝されるので、転職先で役員に抜擢され活躍しています。
K君のように他の仕事に適正があり、すっかりデザイナーを廃業する人もいます。

若い頃のH先輩は上手いデザイナーでしたが、スペシャルなデザイナーではありませんでした。H先輩は、とても人柄がよく、納期の厳しい仕事や、人からあふれた仕事を、徹夜して仕上げていました。
人よりたくさん仕事をしていたH先輩は、そのうち、どの先輩にも負けないデザイナーへと成長し、もともと面倒見がよかったこともあり、今や数十人の制作室を束ねながら、自分もデザイナーとして活躍しています。
40代でデザイナーを続けている人は次の2パターンです。

  1. デザイナーという仕事が好きで適正もあった。
  2. 簡単なデザインばかりしていて他の仕事を見つけることができなかった。

1.の人はデザイナーが天職ともいえ、とても幸せな人です。それでも、40歳ともなれば、デザイナー1本というわけにはいかない場合がほとんどです。
2.の人は、オペレーション業務に近いチラシデザインばかりして、ベテランになったような人に見受けられます。
今は正確さや速さなどに自信があっても、歳をとるとどちらも落ちてきます。ベテランで簡単なデザインしかできない人、蓄積が少ないと感じる人は、そのうち若い人に負けてしまうので、はやく動いたほうがいいでしょう。

次の勉強をしたり、他の能力を伸ばしておこう。

デザイナーを続けるといっても、デザインだけで60歳まで仕事を続けている人など聞いたことがありません。

歳をとって元気がなくなってしまう前に、次の勉強をしましょう。デザイナーからディレクターになるのが王道ですが、他にもキャリアアップの方法はいろいろあります。だいたい、デザイナー3年目からは他の勉強もしていくことをお勧めします。デザイナーと兼務できるのは、下のようなものでしょう。

  • ディレクターや管理職など人を動かす仕事をする
  • イラストの仕事を増やしイラストレーターに転向
  • 自分でブランドを立ち上げる
  • ネットショップでものを売る
  • セミナーや講師業を増やして先生になる
  • 起業・フリーランス

デザイナーのキャリアを活かして、大企業のウェブマスターに転職した場合など、デザイナーを廃業するケースもあります。デザイナーに未練がない場合は、それもいいでしょう。女性は専業主婦コースもあります。

やりたいことが決まっていたら、そのための勉強をコツコツ続けましょう。特にやりたいことがなくても、3年デザイナーをやったら、ディレクションの勉強くらいはしていきましょう。

「デザイナーを続けるために、デザイン以外の勉強をする」というと矛盾しているように感じますが、世の中そんなもんです。

最後は気合!

起業して社長になっても、「俺はデザイナーとして死にたい」と、社長業を部下に譲って、デザイナーに復帰する人もいます。私のように、他の仕事をしながら、細々と続けている人もいます。

「デザイナーを続けるんだ!」という強い意志があり、仕事さえあれば、デザイナーを続けることができます。

私? 私は「デザインとコーディングは趣味」とか言いながら、しぶとく現場に残ってやろうと思います。
誰かに、「頼むから、やめてくれ」と言われても、なかなか、やめませんよ~