スピーカーセレクター(アンプセレクター)を作ってみた。

バナナジャック

こんにちは。昨日、全力疾走して、ふくらはぎに違和感がある藤中です。

突然ですが、私は古いスピーカーやアンプが好きです。気になったものを買い集めていると、コレクションがどんどん増えてきました。
増えてしまったスピーカーやアンプを切り替えて、いつでも使えるようにしておくには、セレクターというものが必要です。

スピーカーセレクターは様々なメーカーから市販されていますが、バナナ端子対応で、品質のいいものは結構高価。

LUXMAN AS-55今回はそれほど高品質なものは必要なく、穴あけとハンダ付けだけで自作できるようなので、チャレンジしてみました。

デジットで材料購入

昔は星電パーツという店が神戸にありましたが、今は日本橋まで行かないと電子パーツは買えません。首都圏、関西圏の人はなんとかなりますが、地方の人はなかなか大変です。
今回は日本橋のデジットさんで材料をそろえました。

「安く」作るのはもちろんですが、せっかくなら「かっこいい」ことも重視したいと思います。
購入したのは以下のパーツ。

  • 訳ありアルミケース
  • ツマミ
  • ロータリーセレクタースイッチ 4極3ポジション
  • ファストン端子
  • バナナ端子(特価品)

材料

初めの電子工作で、わからないことだらけだったので、店員さんに教えてもらいながら購入しました。平日のあまり忙しくない時間に行けば、店員さんも快く対応してくれると思います。

こだわれば高額になったしまうバナナ端子ですが、特価品が出ていたので、コストを抑えることができました。見た目もそこそこいい感じです。
テスターがなかったので、テスターも一緒に購入しました。テスターを除けば、材料費は5,000円以内です。

穴あけ

紙に図面を引きます。パソコンで図面を引けば正確ですが、今回、お酒を飲んで深夜の作業だったため、手作業で図面を引きました(残念ながら、ちょっと歪になってしまいました)。

バナナ端子と図面

図面を背板に貼り付け

切り取った図面を板に貼り付け、ボール盤で穴をあけていきます。ボール盤がなくてもハンドドリルで十分です。

アルミの背板に穴あけ

フロントの板にも、セレクタースイッチ用の穴をあけておきます。この大きさの穴になるとボール盤があるほうが便利ですね。

前面の板穴あけ

穴あけが終わったアルミ板

ハンダ付け

ケーブルは18cm×16本で3m程度は必要です。今回は家に余っていたBelden 8470を使いました。

ケーブル

ハンダごてを握るのは30年前ぶり。小学校の授業でラジオを作って以来です。できるか心配でしたが、慎重にやればなんとかなります。今回16箇所もハンダ付けする必要があり、後半はだんだんうまくなってきました。ハンダごてはこだわらなければ、ダイソーで500円で買えます。

パーツやケーブルの固定は洗濯ばさみを使います。

ハンダ付け

ハンダ付け完了

ファストン端子取り付け

電子工作に慣れている人はバナナ端子に直接ハンダ付けすればいいと思います。私はハンダ付けに不安があったので、極力ハンダ付けを減らすため、ファストン端子を使いました。

ファストン端子の圧着には電工ペンチという工具が必要です。私が持っているものは、1,000円以上しますが、最近ではダイソーで安く買えるようです。

ファストン端子と電工ペンチ

テスターで通電しているか確認しながら、組み立てていきます。テスターはピンキリで、1,000円以下のものもあるようです。

完成、そして…

深夜作業、苦節5時間。明日は重役出勤覚悟で望んだ、はじめての電子工作でしたが、なんとか完成しました。

セレクター組み立て

ところが、テスターで計りなおしてみると、すべての端子が常に通電している状態です。

あれ?

原因を調べてみると、アルミニウムは電気を通すという初歩的な理由だとわかりました。

デジットの「訳ありアルミケース」はアルミニウム製で、安いのに、そこそこ質感がよいです。黒い表面は絶縁されており、電気を通しません。ところが、穴を開けた断面は銀色のアルミニウムがむき出しになり、ここが通電して、全端子が繋がった状態になっていました。

電線によく使われる銅線が100とすると、アルミニウムは60%ぐらいの導電率のようです。
う~ん、知らんかった。
でも、よく考えると、昔、理科の実験で、豆電球のスイッチをアルミホイル作ったような気がする。

この日の作業はここまでで、対策は後日考えることに。

対策① 背板をプラスチックで作る。

背板を通電しないもので作り直そうと思い、ダイソーのプラスチックケースを切り取って背板にしてみました。
厚さ1mm程度のプラスチックですが、切り取るにはカッターで何度も切れ込みを入れる必要があり、かなり苦労します。

プラスチックケースを切断

今回はIllustraterで図面を引き、正確に穴をあけました。

プラスチック版に穴あけ

これで、正常に動作しましたが、プラスチックがちょっと浮いてしまいました。

プラスチック版が浮いている

バナナ端子には結構な負荷がかかるので、ぶよぶよして使いにくい。とても実用に耐えないと思い、プラスチックは諦めました。

対策② 接点をプラスチックでカバーする。

接点をカバーするには普通の「ワッシャー」ではなく、「ブッシュ」というパーツが必要です。横から見るとT字型のワッシャーですね。そうそう日本橋にもいけないので、モノタロウで購入しました。裏面用に普通のワッシャーも購入します。
これらのパーツ自体は安いけど、送料がかかるので、他のものと一緒に購入するとお得です。

  • 大阪魂 ブッシュ(ポリアセタール)(パック品) M4 1パック(25個)
  • 大阪魂 丸ワッシャー(ポリアセタール)(パック品) 4×10×0.8 1パック(25個)

ワッシャーはもう1サイズ大き目を買って、ブッシュの先がはまるようにすればよかったです。

ドリルで穴を大きく広げ、ブッシュをはめ込みます。

背板にブッシュを装着

内側にも念のためワッシャーをかまします。

ワッシャーを挟み込んで取り付け

本当の完成

かっこいいです。

セレクター正面

セレクター背面

  • 重さが足りない
  • 脚がない

ことを改善すれば、もっとよくなりますが、初めての電子工作で力尽きました。
とりあえず、使うことはできます。

とにかく安く作りたい人

ケース全体をダイソーのプラケースにして、バナナ端子も安いものにすれば、2,000円代になると思います。

もっとこだわりたい人

バナナ端子を大きいものにして、ケースも重くして、脚もつけましょう。ツマミもアルミ削り出しのかっこいいやつにすると、15,000円ぐらいで、かなりレベルの高いものになると思います。

ただ、自作でがんばっても、LUXMANなど一流メーカー品の完成度には到底及びません。お金をかけても、デザインや音にこだわりたい人は、素直に市販品を買いましょう。

スピーカーセレクターは電子工作の中では最も簡単なものだと思います。ハンダごてを30年握っていない、テスターを初めて使う私でも作ることができました。作る過程を楽しめそうなら、ぜひチャレンジしてみてください。